PROJECT 01

島根県立美術館
特定天井改修・長寿命化工事

STORY

1999年に開館した島根県立美術館。設計は、メタボリズム運動の第一人者であり戦後日本の建築界を牽引した建築家・菊竹清訓氏(1928〜2011年)。水辺の風景と調和する優美なデザインは、美術鑑賞だけでなく人々の憩いの場としても愛されています。
2021年4月から改修工事がスタートし、松江土建は特定天井改修・長寿命化工事に携わっています。

MEMBER

原竜太郎
建築部|1997年入社

松江土建で住宅や公共施設など多様な現場で施工管理に携わる。島根県立美術館の改修では作業所長として特定天井改修(建築)工事のプロジェクト全体の管理を担当。

原田俊
建築部|2000年入社

松江土建で地元企業の社屋や公共施設などの施工管理に携わる。島根県立美術館の改修では作業所長として長寿命化(建築)工事のプロジェクトの管理を担当。

藤原玲生
設計・IT推進部|2021年入社

設計関連の企業を経てキャリア採用。建築設計系ソフトウェアや新しいシステムの導入・活用に携わる。島根県立美術館の改修ではBIMによるプランニングを担当。

石飛権二
建築部|2019年入社

設備工事関連の企業を経て入社。長寿命化(建築)工事のプロジェクトの現場管理を担当。

金田廉
建築部|2018年入社

国立米子工業高等専門学校で建築工学を学び、松江土建に入社。島根県立美術館の改修では現場管理を担当。

CHAPTER01

より安全な構造へ

東日本大震災の経験を踏まえ、全国的に防災に関わる法整備・施設整備が進められている昨今。島根県立美術館では、エントランスロビーの天井をより安全性の高い構造に改修しています。
スパンドレル(天井仕上材)を用いた「吊り天井」から、軽量で柔らかく且つ頑丈な素材を使った「膜天井」へ移行。
改修後は、入館した際に見える景色が大きく変わります。

comment

職人さんが手待ちにならないよう、効率的な管理を心がけています。これまで手掛けた仕事は1物件だけですが、何もないところに建物ができるとやりがいを感じますね。県立美術館は天井の見え方がガラリと変わるので、完成が楽しみです

CHAPTER02

特殊な構造に合わせたプランニング

元の天井は直線的な平面ではなく、波のように曲線を描く形状。設計はもちろん、足場を組むための仮設計画もその複雑なフォルムに沿ってプランを立てる必要がありました。
そこで今回はBIM(Building Information Modeling)を採用。コンピューター上に建築物の3Dモデルを作成し、ワークフローを合理化。設計や仮設計画、資材調達、施工管理などを一括して行っています。

comment

入社して20年以上が経ちますが、新しい技術やシステムが必要な局面に日々対峙しています。今回はBIMを活用することで元の図面では見えない様々な問題点が着手前に把握でき、効率性と安全性が高まりました。今後も多様な現場での技術革新を期待しています

CHAPTER03

精密なデータをシンプルな形で共有

平面図から起こした3Dデータに実際の建物の点群データを反映し、特殊な形状の建物を3D空間に細部に至るまで再現。平面図の場合は僅かな高低差を複数の断面図に起こす必要がありますが、BIMでは一つのデータへの集約が可能に。管理者も施工者も正確な情報を視覚的に共有できるようになっています。画面に触れるだけで直感的に操作できるのも魅力。現場では協力会社の職長にタブレットを配布し、指示に利用しています。

comment

松江で誰もが知る企業で自身の技術が活かせ、初めて経験することも多く、手応えを感じています。今回は初めてBIMを使用し効率化に貢献できましたが、着手前の準備段階に時間を要しました。今後はスピード・効率アップで貢献したいです

CHAPTER04

長年使い続けた建物を、デザインをそのままに修繕

建設から20年以上が経ち、建物は長年の疲労が蓄積しています。これからも長く使い続けるため、防水処置や防火設備の更新などの長寿命化工事を行っています。外観は曲面で構成される部分が多いため、元の図面に現地での実測データを反映しなければならず、足場や仮囲いの計画も複雑さを極めます。

comment

単純なフォルムではなく同じ場所が一つとしてない施設なので、準備も施工も複雑なプロジェクトです。若手社員には経験を積みながら対人スキルも磨き、成長の糧にして欲しいですね

CHAPTER05

収蔵品とともにある繊細な工事

館内では天井・壁・床材の張り替え・更新、法改正に伴う防火設備改修などの工事を進めています。休館中であっても館内には収蔵品があり、浮世絵や日本画など直射日光・高温多湿を避けなければいけない繊細な美術品も多数。収蔵庫や展示室の改修を行う際には美術品を移動し、動かせない大型の彫刻などは破損防止の処置を施します。人の動線にも配慮しながら工事を計画し、虫が侵入しないよう出入口には防虫の対策を施しています。

comment

現場管理の仕事は向いていないなと思うこともありますが、美術館前の岸公園で家族連れや観光客が憩う様子を見ると『みんなが心地よく過ごせる場所を作っているのだな』と感じ、モチベーションになっています