PROJECT 05

松江市役所
新庁舎プロジェクト 2

STORY

新庁舎の駐車場は、庁舎北側や末次公園などの従来通りの平面駐車場とともに、新しく庁舎の地下も利用できるようになっています。実はこの工事が最大の試練に。長年土木工事に携わり、蓄積してきた技術と知識が役に立ちました。
また、特殊な形状でデザイン性の高い庁舎であるがゆえの困難も。そこで社内で導入が進められていた新技術を活用。目の前のハードルを超えることが、企業として大きな成長につながりました。

MEMBER

波多野 壮
建築部|1997年入社

新卒で松江土建入社以来、松江土建で県内の民間から公共施設まで幅広く施工管理に携わる。今回の松江市新庁舎建設工事では、作業所長としてプロジェクト全体の管理を担当。

金森 弘享
建築部|2003年入社

新卒で松江土建入社以来、松江土建で県内の民間から公共施設まで幅広く施工管理に携わる。今回の松江市新庁舎建設工事では、作業所長としてプロジェクトの管理を担当。

曽田 みづき
建築部|2022年入社

新卒で松江土建入社以来、民間新築工事を経て本工事に携わる。今回の松江市新庁舎建設工事では、現場管理を担当。

福間 正和
建築部|2018年入社

県外の建設企業を経て島根へUターンし松江土建へ入社。今回の松江市新庁舎建設工事では、現場管理を担当。

永田 理穏
建築部|2025年入社

新卒で松江土建へ入社。新入社員研修を経て本工事に携わる。今回の松江市新庁舎建設工事では、周囲先輩方のフォローを得ながら現場管理を担当。

石原 颯
建築部|2021年入社

新卒で松江土建入社以来、民間新築工事を経て本工事に携わる。今回の松江市新庁舎建設工事では、現場管理を担当。

飯塚 莱夢
建築部|2024年入社

新卒で松江土建へ入社。今回の松江市新庁舎建設工事では、周囲先輩方のフォローを得ながら現場管理を担当。

佐藤 千尋
建築部設計積算課|2014年入社

松江土建へ中途入社。入社後建築士資格を取得し、幅広く設計業務に携わる。今回の松江市新庁舎建設工事では、BIMによるコーディネートを担当。

※肩書き等情報は取材当時のものを記載。

CHAPTER04

浸水と泥と格闘し続けた地下工事

土地を最大限活用するため、地下駐車場を設けることになっていた今回のプロジェクト。新庁舎の建物を造る前に地下構造の工事が始まりましたが、ここで一つ大きな壁がありました。
市役所のある地域は元々宍道湖を埋め立てた土地で地盤が軟弱。1メートル程度掘れば水が出てきてしまう場所でした。何メートル掘ってもヘドロが溢れるばかりで、建物を支える十分な固さを持つ支持層までは20メートル以上もありました。そこへ届くまでは全く地力がなく、機械に抵抗値はほとんど出ずに自重で沈んでいくような有様。建築でこれほど深くまで地面を掘ることは前例がありませんでした。

そこで土木部のスタッフを動員し、掘削作業や浸水対策などに協力してもらいました。土木部の提案で、地下深くまで打った矢板の隙間から水が入ってこないようパイルロックを使用。通常の建築では使うことがないものですが、採用したことが地下工事の成功の一助になりました。
矢板は通常の規格より大きい幅90センチのものを使用。「建築で使うことは稀」とメーカーの担当者も驚いていました。建築部と土木部のタッグがあったからこそ実現した工事です。

comment

土木部にいろいろ教えてもらいながらやってきましたが、本当にことごとく失敗で……。全く図面通り・計算通りにいかない。地下工事だけで1年もかかりました。
松江土建の建築部では地下の工事を手がけたことも、浸水する土地の工事も経験がなく、土木部の協力なしには不可能でした。パイルロックは本当に効果が出るかどうかやってみないとわからず、採用はちょっとチャレンジ的な面も。結果として大成功でした。建築だけでなく河川工事や上下水道工事など幅広く手掛けてきた松江土建だからこその連携でしたね。

comment

地下工事が一番ハードだったと思います。長靴がはまり込んで抜けなくなるようなひどい状態で、泥の中から生きたカニが出てきたことも……。冬もかなりつらかったですね。気温が低い日にコンクリート打つ場合は温めなければならず、火の番をしながら夜まで作業。片付けをしてまた翌日コンクリート作業。毎週続き、雪や雨が降れば養生もしなければいけない。
現場は若い施工管理者が多く、行き詰まっていた時期もあたっと思います。それぞれ担当セクションが違うので、毎週打ち合わせをして確認をし、難しい部分はないかこまめに話し合いました。なんとかみんなで乗り切ったという感じですね。

comment

2期の地下工事からこの現場に入りました。施工体制台帳や安全書類など、書類関係の業務を中心に担当。最初は「書類のことなら曽田に聞けば全て分かる」ぐらいの人材になろうと気負っていましたが、波多野所長が「迷ったら教えてくれる人はいるから、安心して仕事をしなさい」と言ってくれ、肩の力を抜いて自分なりに頑張れました。
建築の書類はデジタル化が進んでいますが、この工事では紙での提出がほとんどでした。大量の書類を日々こなさなければいけませんでしたが、ファイリングして並んでいるのを見ると「ここまで私がやったんだな」と手応えを感じました。
今後は書類業務の経験を積みながら、技術職をサポートする「建設ディレクター」を目指したいです。

CHAPTER05

複雑な形状の建物にBIMを活用

庁舎は松江城をイメージした設計で、屋根とテラスが重なる印象的なデザインになっています。1期工事の棟はテラスが重なる角度にねじれがあり、複雑な構造になっているため施工の難易度も高くなりました。必然的に足場の設計も複雑に。1期工事の途中段階からはRevitを使い、入り組んだ構造に合わせた足場を3Dモデルで設計しました。
その後、2期工事からBIMを積極的に活用。松江土建では、1期工事が始まった頃から月に1回、現場のスタッフとBIMの定例会議を行なっていました。協力会社の施工図業者がArchicadでBIMデータを作成していたため、それをどうにか2期工事の施工に活かせないかと協議し、導入に至りました。

例えば鉄骨を使った施工では、1日ごとに組み上げていく工程を約50日分3Dイメージに。PDFデータにしてどんなデバイスでも見られるようにしました。
現場でタブレッやスマホですぐに見られ、印刷したものを現場に貼り打ち合わせに使うなど、状況確認がスムーズに。今後も工法やデザインに合わせた活用を検討しています。

comment

BIMの一番の魅力は、情報共有のしやすさ。よくある平面図や立面図、パースなどより3Dの方が目で見て理解でき情報伝達がより正確になるので、手戻りが減ります。口頭で説明する手間が削減される効果もありますね。
時代は3Dモデルを活用できなければいけない方向へますます進んでいくでしょう。これから入社してくるデジタルネイティブ世代はツールの操作に抵抗感がないと思うので、活躍に期待しています。
また、BIMデータを単に作成するだけではなく、いかに手軽に使ってもらえるかも重要なポイントです。今後はデータの活用に関する交通整理も徐々に進めていけたらと思っています。

comment

今回のような大規模工事を担当したことは一生の財産になり、孫の代まで自慢できます。
施工や資材、検査など、細かところまで数えると400もの業者が関わったプロジェクト。それぞれの担当者さんに教えていただくことも多かったはずです。多様な経験を積め、若い世代は大きく成長したと感じました。
建設業は一つの現場が終わればまた次の現場が始まります。建設業に同じ仕事はなく、そのためマンネリ化はありません。そして工法や資材など日進月歩で進化していく業界です。永遠にチャレンジできる面白い仕事なので、楽しんで成長してもらいたいです。